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BOND~外国人労働者・難民とともに歩む会~

  • 8:働きがいも経済成長も
  • 10:人や国の不平等をなくそう
  • 課外活動団体

BOND~外国人労働者・難民とともに歩む会~上智支部 総合グローバル学部総合グローバル学科 加納茜さんにインタビューを行いました。

——Q1 創立の背景を教えてください
2000年代初頭、入管の外国人収容施設における人権侵害問題が表面化しました。その頃から、正義感のある学生を始め市民が、収容施設に赴き面会活動を始めるようになりました。面会活動を個々人で続けていくことの限界や無力感などを受け、支援者間で連携し、当事者が直面する人権侵害と闘う組織が必要となったことから、2008年に当団体が設立されました。上智支部に関しては、2019年に在籍していた上智学生が、上智生にもっとこの問題に関心を寄せてほしいと声を上げたことがきっかけで、同年設立されました。


——Q2 具体的な活動内容は?
私たちは日々、主に三つの活動を行っています。まず、活動の軸として面会活動を行っています。品川や牛久、横浜にある入管施設に訪問し、被収容者との対話によって収容所内の状況や処遇を把握しています。非人道的な状況が明らかになった場合は改善を求めて入管に対して申し入れを行います。また施設外の出来事の情報共有や、当事者同士の橋渡しの役割も担っています。二つ目は広報活動です。SNSを使って入管問題に関する情報を発信することで、入管問題に関心を寄せる人を増やし、新たな支援者の獲得を目指しています。三つ目は渉外・教育になります。問題を理解するためのイベントや学習会を主催することで、入管問題解決のための世論を形成し、根本から解決することを目的としています。


——Q3 成果があった活動を教えてください
今年三月、スリランカ人女性が名古屋の入管収容施設内で亡くなられました。この事件を受け、BONDを中心に真相究明を求める学生市民の会を組織し、全国の学生有志とともに死亡事件の真相究明と再発防止を求める活動を行いました。この活動は、多くの世間の関心を呼んだと思います。オンライン署名では、約三か月で93,148筆の賛同をいただきました。こんなにも多くの人が、同じ日本社会における人権侵害に対して関心を寄せているんだと実感し、今後の活動の糧ともなりました。
SDGsとの関連性については、私たちの活動は、SDGsの目標のうち、8番と10番に該当すると考えています。まず、8番の「働きがいも経済成長も」という目標は、入管問題とあまり関係ないように見えますが、“全ての労働者の権利を保護する”というターゲットに関連すると思います。歴史をさかのぼると、バブル期の日本では、労働力不足を背景に多くの外国人労働者を受け入れ、在留資格を失った状態でも働くことを黙認し、刑事犯罪を犯さずに真面目に働いていれば日本で暮らすことをなかば認めている状況がありました。ですが後に、労働力が不要になったとして、在留資格が切れていた外国人を摘発、収容し、帰国を迫るようになりました。帰国を選択する外国人も多くいた一方で、既に日本に生活基盤があり、家族がいる方、あるいは難民として逃れてきた方は、帰れと言われても難しい状態に置かれます。当事者は社会から取り残されるようになってしまったのです。こうして今日まで、日本における移住労働者の扱いは人権保護という観点から離れたものになっています。続いて、10番の「人や国の不平等をなくそう」という目標にも関連があります。特に、10.2のターゲットは「2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する」と言っています。在留資格の有無や人種、宗教、難民性によって、当事者は、日本での在留を望んでいるのに、あらゆる包摂や人権保障から省かれています。


——Q4 活動の中で困難なことは
スリランカ人女性の方が亡くなった事件がきっかけで入管問題に対して関心が集まるようになりました。しかし、今も収容を始めこの問題に苦しんでいる当事者は多くいらっしゃいます。こうした事実があるのに、入管問題は日本社会の議論のテーブルにすら乗っていないと思います。一部の人が声をあげても解決する問題ではないので、いかに市民に問題意識を持ってもらえるかが今後の課題だと考えています。また、スリランカ人女性の死亡事件が個別事案として捉えられ、社会からの関心が一過性のものにならないか懸念しています。今後どのように社会からの関心を維持・拡大させていくかを今後の課題として考えています。


——Q6 読者に伝えたいこと
この問題に関心のある方は、日本の難民認定率が極めて小さいことをご存じかと思います。難民申請した人の約99.6%は、難民不認定処分を受け、身の危険のある母国に帰るよう言われます。ですが、難民申請をしているわけですから、当事者は強硬的に帰国を迫られても従えません。その結果、当事者は、無期限収容や収容施設内の差別・暴力、医療放置、そして死に追いやられます。収容施設内の死亡は後を絶ちません。みなさんには、当事者の声に耳を傾けることで、自国に帰れない事情がありながらも国から難民とは認めないと言われている人が、同じ日本社会で、どのような処遇を受けているかという点まで目を向けてほしいです。


(学生職員 左光)

学生団体

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