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SOPHIA DIVERSITY WEEK 2021「セルフラブとボディポジティブ~ありのままの自分を受け入れてみよう~」に参加しました

自己肯定感ワークシート

2021年12月8日に開催されたSOPHIA DIVERSITY WEEK 2021「セルフラブとボディポジティブ~ありのままの自分を受け入れてみよう~」に学生職員一名が参加しましたので、イベントの様子をお伝えします。

【登壇者】
・本学学生四名
・上智大学外国語学部英語学科 出口真紀子 教授

——ワークシート記入タイム(5分)
自己紹介後、自己肯定感ワークシートを記入しました。(右写真)このWSではポイントではなく、自分自身の気づきのためのものとして使ってほしい、とのことです。

——セルフラブとボディポジティブって、そもそもどういう意味?言葉の定義を確認してみよう!
・セルフラブとは
セルフラブ =自己愛 であり、ナルシスト・自己中心的という意味ではない。
ありのままの自分を受け入れること、自分が自分であることを認め、愛することを指す。

・ボディポジティブとは 
どんな外見でも受け入れること。体型、体のパーツ、顔や毛など、すべてにおいて痩せていても、 太っていても、どんな外見でも美しく、無理に社会的美の基準にあなたを当てはめる必要はない。

——登壇者の体験談
《登壇者1》 
中学受験によるストレスで体型が変化し、中学時代に心無い言葉を何度も投げかけられるようになった。今でも言われたときの光景を鮮明に覚えており、シャワーのようにボディーシェイミング(外見に対してそれを罵ること)の言葉を浴びせられていた。当時は、自分の体型のせいで性格も成績も悪いのだと思い込んでいたが、たまたまセルフラブに関する発信をしているインスタグラムの投稿を発見。だんだんと自分を受け入れられるようになり、 今では自分の身体のパーツを愛せるようになった。最近では日本のお笑い文化(ふくよかな女性芸人が罵られ、それがお笑いになる)をはじめとして、何気ない光景が人間の固定観念に悪影響を及ぼしているのではないかと考え、そういった現状を変え、人間が自分の軸で生きて行ける社会を作りたい。

《登壇者2》
大学生1年生の時に癌で母親を亡くした。その悲しみは語りきれないが、これをセルフラブという文脈で語ると母親がいることが当たり前という「幸せな家族像」のレールから外れてしまったことが自分にとって心が傷つく要因の一つであった。その後アメリカに留学した際、初回の授業が家族について語るもので、最初は怖かったものの彼らは自分のどんな家族像についても誇りをもって話しており、自分の話に対しても憐みの目を持たず、“あなたはそうなんだ”と受け入れてくれた。アメリカの多様性を受け入れる文化に救われ、自分で自分を幸せではないと縛り付けていたことに気づいた。世間から見たらかわいそうかもしれないが、母親がいないからこそできる経験がたくさんある。それを知ると、強い人間だと思われるかもしれないが、辛いときはグリーフケアやカウンセリングを行っており、 自分を愛することも強さの一つであると考えている。この経験から、日本のスタンダードから外れると違う目で見られる、同調圧力が強い文化に対して違和感を覚えるようになった。

《登壇者3》
アメリカへの留学前は自分を当たり前のように貶し、自分=普通なことが重要だと思っていたことから目立たない存在になることに執着していた。しかし留学後、アメリカの多様な自分に対する考え方に触れたことで、“誰も私になることはできない”という、大切な考えを得た。まだ自分のことを完全に好きになることはできていないが、日本とアメリカの自己肯定感の違いに対して強い関心を抱くようになった。日本の協調することが当たり前という風潮に対しては、セルフラブを知ってもらうことから始めていきたい。そのために、セルフラブ=“苦しんでいる人にとって必要なもの” ではなく、“みんなにとって必要なもの”であり、苦しんだ時に助けてくれる存在として定着させていきたい。

《登壇者4》
今では治ったが、昔は摂食障害だった。その中でもたくさん食べて吐く過食嘔吐を行っており、これは歯がかけたり、えらが大きくなって腫れたりと、容姿にまで影響を及ぼすものだった。障害がなくなった今でもまだ自分のえらは好きになれていないという。カウンセリングによって、障害の原因は自分の食欲を抑制できていないことが原因にあるのではなく、「やせていなきゃ、優しくてかわいくいなきゃ、頭がよくなきゃ」という価値観で自分を縛っていたことが根本的な原因であったことに気づいた。それと同時にありのままの自分を受け入れ、私は私が大好きでる、と自覚し、セルフラブの考え方を受け入れたことでカウンセリングから半年で摂食障害から脱却することができた。日本は褒められても「まだまだです」と返すなど、自分を卑下して謙虚でいることが大事であるという考え方が定着し、自己肯定感が高くあることの大切さが軽視されていると思う。傲慢にならないことは大切だが、自分を卑下するのは意味合いが違う。もっと自分を大切にする人間性を持ってほしい。

——出口先生より セルフラブについてのお話

《記事紹介》「鴻上尚史さんの悩み相談室」『朝日新聞』2018年8月14日

(記事要約)
➤帰国子女の娘がクラスで浮いた存在に
小学校5年の娘がいる母親より、夫婦ともに写真家で、仕事の関係で6年間アメリカに滞在していた。娘はおしゃれな父親の影響をうけてビビットなカラーのものを好んで着たり、自分で衣装を作ったりしていた。しかし日本の学校に通うようになって、1カ月半ほどたった日、悲壮感いっぱいの顔で娘が「服を買い替えたい」と訴えてきた。クラスメイトに 「服が派手すぎない?誰もそんな色着ないよ」 と言われたのをきっかけに、クラスの目が冷たくなっていったという。話を聞いた夫は怒った口調で、「人目なんて気にせずにおまえらしく好きな服を着ていけばいい。同調してつまらない人間になるな」 伝えたが、現実を考えれば娘にとって、酷な言葉だったのではないか。新しい(よくある)服を買ってクラスに馴染むようにするのが娘のためなのか、これまで通りの自分をつらぬいて強い気持ちをもつよう諭すのがためなのか、鴻上さんのご意見をお聞かせください。

➤鴻上さんの回答
日本には「みんなが同じになろう」 という 「同調圧力の強さ」 と「自尊意識(自分はかけがえのない存在であるという意識)の低さ」 の問題がセットで存在している。そして、フォトグラファーである旦那さんからのアドバイスは、その職業が教師やサラリーマンに比べて、はるかに同調圧力が低い職業であることに起因するのではないか。たとえば 数年前、自殺した広告代理店勤務の女性に対して、「それぐらいの残業で過労死するのは情けない」というコメントをして炎上した大学教授がいた。広告代理店の若手女性社員と大学教授では、 受ける同調圧力が桁違いなのだ。鴻上氏からのアドバイスは、まず娘さんに、
「この国のかたち」 を伝えること。 アメリカにも同調圧力はあるが、それは日本ほど強くはない。みんな 「同調圧力」と戦うための「自尊意識」 を持つように教育されているからだ。しかし日本では、 「自尊意識」にたいする教育はほとんどなく、道徳の時間を含めて、「同調圧力」 に敏感になることは繰り返し教えられる。だから、今、「お前は日本と向き合っているんだよ」と伝える。その後の対抗手段は二つ。一つ目はフィールドを変えること。つまり、自由な校風の私立、帰国子女や外国人生徒が多い学校など比較的同調圧力の少ない組織に移動することだ。それがダメなら、戦略的に戦う道を選ぶ。学校には、同調圧力にあわせて地味な服で登校し、その代わり、親しい友達とのお出かけや放課後は自分の着たいおしゃれな服を選ぶのだ。または、学校用に選んだ地味な服に、 ワンポイント、おしゃれをするという一段上の方法もあります。周りから咎められない範囲で戦略的におしゃれを戦うのです。大切なのは、学校に地味な格好をして行く時「負けた」とか「悔しい」とか「本当はこんな格好をしたくない」とかネガティブな思いにならないこと。それは、生き延びるために選んだ戦い方のひとつだと、娘さんと話すのです。

《出口先生自身のエピソード》
アメリカの大学院時代、少し精神的につらい時期があり、トインポスター症候群(自分の力で何かを達成し、 周囲から高く評価されても、 自分にはそのような能力はない、 評価されるに値しないと自己を過小評押価してしまう傾向のこと)になった。抵抗はあったものの友人からの後押しでカウンセリングに行き、自分に対する許容範囲を広げるきっかけになった。
そこから学んだのは、生きにくさ・生きづらさはだれにでも感じうるものである、ということ。そしてカウンセリングはその生きにくさから脱するためにたくさんある選択肢の中の一つであり、決して恥ずかしい行為ではなく、カウンセリングに行くことは「自分のことが大切」と思えているサインであるということだ。

——ボディポジティブに関して
からだは自分を支えてくれている大切な部分。からだに対してネガティブなことばかり感じてしまう私たちでも、からだは一生懸命私たちを支えてくれている。自分たちの部位に対して、 「太い」 「醜い」 などネガティブな評価ばかり受けているのに、 私たちを支えてくれている部位に対して感謝をしよう!

——セルフラブの方法
・セルフハグ
・体のパーツを撫無でながら「ありがとう」と声をかけてみる
・機嫌が直る方法を知っておく(カフェに行く、散歩に行く等)
・自分が沢山頑張っていることに気づく(I am ENOUGH!)
・感情を書き出す (ex: アプリmuute)
①その時の気持ちを記録
② 感情を選ぶ
③何にまつわる事か選ぶ
→自分の感情の波、 どんな時に楽しく、悲しくなっているかをAIが分析してくれる!
https://muute.jp./

——最後に
・周りの軸ではなく、 自分の軸で生きよう。自分を守ることも自分の強さの一つ。あなたはかけがえのない存在で、 あなたの代わりはいない。
・自分で自分を肯定してあげる。パワーを自分自身の中に蓄える
・まずは気づきから。ネガティブな思考をしていたら、それを自覚する。
(学生職員 左光)