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ソフィア・ダイバーシティ・ウィーク2021「振りかざされる「配慮」」に参加しました。(2021年12月1日)

ソフィア・ダイバーシティ・ウィーク2021「振りかざされる「配慮」」

2021年12月1日、ソフィア・ダイバーシティ・ウィーク2021の学生企画「振りかざされる「配慮」」が開催されました。
文学部 英文学科 3年 加藤 梨乃さんが「言葉狩りの事例をもとに、私たちが歩むべきのダイバーシティ社会はなんなのか」をテーマに掲げて、講演してくださいました。

SDGsやダイバーシティの重要性が高まっている時代です。しかし、一方で、SNSなどをみると、自分と意見の違う人に対する批判が蔓延っている実態です。これが果たして多様性のある社会であるのか、という疑問から本企画が実現しました。
溢れている相手への批判の中でも、「言葉狩り」は、特に激しい論争が行われている話題であります。

「言葉狩り」とは、「特定の言葉を、圧力をかけて使わせないようにすること」を指します。日々使っていたが、実は差別的な意味が込まれていた言葉を変えようとする最近の動きに対して、「時代や価値観の変化に沿って言葉も変わる必要がある」と主張する賛成派と、「それは言葉狩りである」と主張する反対派で別れ、鋭く対立をしています。

講演の前半では、「無人警察」、ファミリマートの「お母さん食堂」、「美白」が実例として紹介されました。以上3つの実例を踏まえて、言葉狩りの論争には、3つの問題があるという結論に至りました。第1に、単語には、それぞれの歴史的・文化的な背景と、問題になった理由がありますが、それを考慮されてない現状です。第2に、言葉だけが先行しているという問題があります。また、第3に、ただ言葉をなくせばいいという姿勢に問題があります。

後半では、「私たちは言葉とどう向き合えば良いのか?」をお題として、ディスカッションが行われ、参加者の声を聞くことができました。
学生の参加者から、「単語を消すより、その単語にどんな文脈や背景があるか考えることが先だ」という意見がありました。
また、「嫁、奥さんのような表現で紹介されたい人がいて、その意見を尊重することがダイバーシティ社会に繋がる」、そのため、「本人にどう呼ばれたいか、確認を取る」という提案がありました。
問題となった言葉を代替する表現に対する意見もありました。例えば、ニュートラルな表現である「パートナー」は、その範囲があまりにも広くて、伝えようとする意味がうまく伝わらない問題があります。しかし、「その曖昧さに救われる人がいる」という参加者の声が印象的でした。

妻、嫁などの表現は、誰かにはマイナスになるが、誰かにはプラスになることもあります。そのため、これらの呼び方が 現代の潮流と異なると言う理由で、相手へ批判を正当化することは、抑圧を生み出し、多様性を侵害してしまう結果になります。その点で、現代は多様性を重視するように見えていすが、私たちは相手に寛容でなくなっているのではないかという新しい視点の発見がありました。

意見の違う人に向き合う時、その違いを認めることから多様性を守れます。今は、画一化したところと、自由な考え方が混在している過渡期であると思います。これからの社会のあり方は、現世代の動きに左右されます。本当の意味でのダイバーシティとは何か考えていきたいです。