コンテンツへスキップする

シンポジウム 「持続可能な社会に向けたエネルギーと太陽電池」に参加しました(2021年10月22日)

国連Weeksシンポジウム 「持続可能な社会に向けたエネルギーと太陽電池」(2021年10月22日)

2021年10月22日(金)に「持続可能な社会に向けたエネルギーと太陽電池」が開催されました。講演には、高村ゆかり教授(東京大学 未来ビジョン研究センター)と宮坂力教授(桐蔭横浜大学 医用工学部)をお招きし、2050年までにカーボンニュートラルを目指す世界の現状と期待、および近年注目を浴びている日本発のペロブスカイト太陽電池についてご講演いただきました。

近年、私たちが感じるようになった猛暑や豪雨などの異常気象の増加は、今後、温暖化の進行によりますます拡大するとされています。気温上昇を抑え込むため、世界は2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げていますが、現状の社会ではこの目標を達成することはできず、目指す未来を実現するには、科学技術やシステムに大きなイノベーションが必須となります。

そのなかで日本は、464もの自治体が“CO2排出実質ゼロ宣言”を表明しているほか、企業がビジネスモデルの転換などを進め、カーボンニュートラル推進の担い手となっています。また、政府はグリーン成長戦略を策定し、成長が期待される14の重要な産業分野を定め、産業構造の転換を図っています。重要視される産業の中には、太陽光といった次世代再生可能エネルギーも挙げられており、エネルギーシステムもかつてない転換が求められる時代となりました。

そして近年、このエネルギー産業に革新を起こしているのが、宮坂力教授らによって開発された日本発の次世代太陽電池、ペロブスカイト太陽電池です。これは、私たちが太陽電池と聞いて想像するSi系太陽電池と同等の高変換効率を達成している上、応用性が高い性質を有しており、発展が非常に期待されています。

ペロブスカイト太陽電池が注目される理由は、素材自体が0.0005mmと非常に薄く、軽いのに加え、フィルム状で自由自在に折り曲げられるという特徴にあります。0.0005mmという厚さは髪の毛の太さの200分の1ほどで、厚みのあるSi系太陽電池では不可能であった車の曲線構造やビルの壁面、衣服といった身近な生活のあらゆる箇所に太陽電池を採用できるようになります。また、使用されている材料も入手しやすく、低価格での販売も期待できます。今後、ロール状の太陽電池を、ホームセンターなどで一般消費者が容易に入手できる時代が到来するかもしれません。

新たな潮流の中でこうしたイノベーションが生まれ、持続可能な社会の芽が着実に育ちつつあります。日本は再生可能エネルギーに関する特許数が世界一位であり、エネルギー産業における新たな製品やサービスの誕生にも今後期待できます。そして、生まれた製品やサービスを選択し、利用している私たちも重要な役割を担っていると言えるでしょう。一人ひとりが社会課題を自分ごととして捉え、持続可能な社会の実現に向けたイノベーターとしての行動が求められているのではないでしょうか。

(学生職員 松見)