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上智大学国連Weeks June 2022「文化的でインクルーシブなコミュニケーション(医療編)」に参加しました(2022年6月11日)

日時:2022年6月11 日(土)17:00~18:50 

講演者:学習塾早瀨道場塾長/映画監督 早瀨憲太郎氏 

株式会社シュアール代表取締役 大木洵人氏 

高田馬場さくらクリニック院長 冨田茂氏 

ランゲージワン株式会社 多文化共生推進ディレクター カブレホス・セサル氏 

モデレーター:上智大学理工学部情報理工学科教授 高岡詠子氏 

冒頭挨拶:上智大学理工学部長 澁谷智治氏 

 2022年6月11 日、上智大学国連Weeks June 2022「文化的でインクルーシブなコミュニケーション~医療編~」がZoomウェビナーで開催されました。本シンポジウムは上智大学と上智大学理工学部、株式会社シュアール、ランゲージワン株式会社との共催によって、理工学部情報理工学科の高岡詠子教授の企画により実現しました。本イベントでは常時、手話通訳のほかに、字幕でもリアルタイムで講演内容が表示されました。 

インクルーシブコミュニケーションとは、”多文化共生やダイバーシティの考え方に必要なコミュニケーション”のことで、モデレーターである上智大学理工学部情報理工学科の高岡詠子教授は、「多様性とひと言で言うことは簡単ですが、それを実現するためには一人ひとりの力が必要であり、そのために自分は何をすればよいのか、それを知るための1つのきっかけになれば幸いです」と述べられました。また、上智大学理工学部長である澁谷智治教授は、登壇者の方々に関してや所属されている組織のホームページをご覧になった際のご感想とともに、高岡教授や登壇者への感謝を述べられました。 

 学習塾早瀨道場塾長と映画監督を務める早瀨氏は、「音の無い世界に生きる者から皆さんへ」として、当事者として普段の生活で不便に思ったこと、残念に感じたことについてお話がありました。“聞こえない=困っている”という決めつけが無意識のうちにあること、それと同時に社会のシステムが聞こえる人たちに合わせてつくられていることについても指摘されました。医療現場においては手話通訳がついてからがスタートであり、そこから深いコミュニケーションや関係をつくっていくことが、聞こえない人にとって非常に大切だとも述べられました。 

 次に、株式会社シュアールの代表取締役である大木氏は、「ろう者のための企業によるサポート」をテーマに、創業に至った経緯や“聴覚障害者”という言葉の広さについて述べながら、会社の提供するサービスについて講演されました。厚生労働省のデータを用いながら、聴覚障害者の人口分布、障害者手帳を持っていない難聴者についても触れ、その方に合った最適なコミュニケーション方法は何かを考え、意識することが大事だとも述べられました。 

 3人目の登壇者として、高田馬場さくらクリニックで院長を務める冨田氏が「地域社会における外国人住民の保健医療アクセスへの課題」についてお話をされました。クリニックの位置する新宿区は日本でも外国人人口が非常に高い上、高田馬場は「リトルヤンゴン」と言われるほどミャンマー人が多く暮らしています。現在、クリニックにはミャンマー人のほかも、ネパール、タイ、ベトナム、カンボジア出身のスタッフも在籍しており、複数言語での対応が可能となっているようです。冨田氏は最後に、「外国人住民の健康を支えることは、結果として私たちの社会を支えてもらうことにつながると思って、今後も頑張っていきたい」と締めくくっておられました。 

 最後に、ランゲージワン株式会社で多文化共生推進ディレクターを務めるセサル氏が「医療現場における多文化共生」について講演されました。セサル氏は、医療通訳に携わることとなったご自身の経験について述べた上で、119番通報時の多言語通訳やLINEを用いた通訳などのサービスについて紹介されました。多文化共生に関して、日本に来た外国人がぶつかる壁は①言語の壁②文化の壁の2つがあると指摘し、特に文化の壁は大きく、災害時や傷病の際に違いが感じられると述べました。医療通訳をはじめとする通訳サービスなどを用いて、多文化共生社会を実現していきたいと今後の展望を語られました。 

(学生職員 アンジェラ)