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Africa Weeks2022「上智大学アフリカ研究紹介」に参加しました(2022年5月19日)

冒頭挨拶:上智大学長 曄道佳明氏

司会:グローバル教育センター講師 山崎瑛莉氏

登壇者:外国語学部フランス語学科教授・アジア文化研究所所属 岩崎えり奈氏

    総合グローバル学部総合グローバル学科教授・アジア文化研究所・多文化共生社会研究所所属 戸田美佳子氏

    総合グローバル学部総合グローバル学科教授・アジア文化研究所所属 眞城百華氏

2022年5月19日、本学が開催するアフリカウィークスの一環として、セミナー「上智大学アフリカ研究紹介」がzoom上で開かれた。本セミナーは上智大学の教員より、本学でのアフリカに関する研究や学びについて紹介し、一望できるプログラムとなっている。100名程度の申し込みがあり、高校生の参加がおよそ4割に上った。

セミナーに先立って、上智大学長である曄道佳明氏が挨拶を行った。上智大学でアフリカ教育や研究を行うことについて、グローバル社会やアフリカの今後の可能性にも言及しながら、実際にどんな社会があってどんな課題があるのか、理論だけでなく経験としてアフリカを捉えていってほしい、と述べた。

まず、本セミナーの司会も務めた本学グローバル教育センター講師の山﨑瑛莉氏より、アフリカに関する全学共通科目の授業が紹介された。上智大学には、キーワードにアフリカを含む科目は74科目ある(演習なども含む)。アフリカ地域における協定校は12か国14校に上り、2019年にはアフリカ開発銀行とも教育連携協定を結んでいる。そのほか、企業やJICA等の協力を受けて授業を行うこともあり、幅広いジャンルやフィールドからアフリカを学ぶことができる。山﨑氏は、その中でも実践型プログラムの一つである「アフリカに学ぶ」を紹介。1枚の写真を見せつつ、視点や価値観は人それぞれであることから、プログラム中では「学び合い」を大切にしていると説明した。メンバーからも現地の人からも新たな視点を学ぶ、そんな機会になると語った。

続いて、上智大学におけるアフリカ×地域研究について、3人の本学教員から紹介があった。1つ目は、外国語学部フランス語学科教授の岩崎えり奈氏より、中東北アフリカの研究についての紹介が行われた。岩崎氏は特にチュニジアとエジプトを中心に研究を行っており、中東北アフリカ研究の面白さについて二つポイントを挙げた。地中海とサハラ砂漠の文化交流圏という共通点について説明しつつ、ヨーロッパ、イスラーム世界、地中海世界につながる地形的な面白さがあること、そして、水について人間と環境の関係がダイレクトかつシンプルであり、資源の希少さゆえに面白さがあること、だと語った。

 2つ目は、総合グローバル学部総合グローバル学科准教授の戸田美佳子氏より、中部アフリカの研究についての紹介が行われた。戸田氏はカメルーン、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国を中心に、アフリカにおける障がい者の研究と、カメルーン熱帯雨林における地域住民と森林資源マネジメントの実践的な取り組み、の2つのテーマで研究を行っている。熱帯雨林地域について、多様な生物の宝庫であると同時に経済的な価値から森林伐採が多く行われていること、森林を「保護する」ためにその生態系と共存してきた住民まで強制移住させられ、住民の社会を脅かしていることが問題であると指摘した。そのうえで「在来知」といい、そこに住む人々が経験を通して長年受け継いできた知恵を私たちが学ぶこと、が大切だと語った。

3つ目は、総合グローバル学部総合グローバル学科教授の眞城百華氏より、東アフリカの研究についてと、その他上智大学でのアフリカ研究についての紹介が行われた。眞城氏は、エチオピアを中心にアフリカ史やアフリカのジェンダーや国際関係についての研究を行っている。研究においては「なぜアフリカで内戦が生じるのか?」という自身の問いのもと、住民へのインタビューや外交関係の分析を用いながら歴史や政治、国際関係を紐解き、点で起こったことをいかに線、面にして理解するかが重要だと語った。アフリカの国々の女性の政治参加率(国会議員レベル)が比較的高いことも言及しつつ女性兵士の存在を紹介し、女性が政治や社会の変革主体としてどのように関与していたのか、被害者や犠牲者以外の側面にも注目すべきだと述べた。

本セミナーには参加されなかったが、外国語学部ポルトガル語学科教授でアジア文化研究所所属の矢澤達宏氏は、アフリカにルーツを持つブラックディアスポラという人々とアフリカの関係、特にブラジルにおける黒人運動とその中におけるアフリカの位置づけや関わりについての研究、そしてサブサハラアフリカ地域の政治と歴史についての研究を行っている。

本学では総合グローバル学部にて非常勤講師によるアフリカについての授業の展開があるほか、アラビア語やスワヒリ語などの言語の授業など、多様な拠点からアフリカについての教育が提供されている。

また、登壇した3人の教員も所属している上智大学アジア文化研究所は、英語名をInstitute of Asian, African, and Middle Eastern Studies Sophia University といい、多様なプログラムのなかでアジア、中東とともにアフリカの研究を行っている。研究所主催でセミナーやワークショップ、映画上映会や写真展など、アフリカについて学ぶことのできるイベントも開催しており、学生以外に高校生や一般の方も参加できるものを用意している。 セミナーの終わりには、多数の参加者からそれぞれの登壇者へ質問があり、充実した時間となった。コロナパンデミック禍でのアフリカにおける政治についての質問がなされた際には、パンデミックの影響は政治的な面だけでなく社会・経済的、また医療的にも出ている国もあり、ワクチンの確保には外交関係も重要だとの回答があり、日本との状況の差も鑑みることができた。他の社会や文化から学ぶことは気づきや新たな視点を得るうえで、有意義になってくるだろう。アフリカに学ぶことで、多文化共生をはじめ、私たちの社会について見つめなおすことができるのではないだろうか。


(学生職員 橋野)