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Africa Weeks 2023「アフリカのスラムに学校を作る〜子どもたちの笑顔、命の輝き〜」に参加しました(2023年5月15日)

<概要>

日時:2023年5月15日(月) 17:20 -19:00

講演者:早川千晶氏

コーディネーター:上智大学グローバル教育センター・国際協力人材育成センター所員 山﨑瑛莉 講師

冒頭挨拶:Africa Weeks実行委員(学生)


2023年5月15日、ケニア最大のスラム街・キベラで貧困の人々のための活動を行う早川千晶氏をお招きし、講演会「アフリカのスラムに学校を作る〜子どもたちの笑顔、命の輝き〜」を対面とオンラインのハイフレックス形式で開催しました。

講演会は、アフリカWeeks学生実行委員会の渡部久留美さん(外国語学部フランス語学科)による挨拶をもって始まりました。渡部さんは、早川さんの講演会(2022年11月)に参加した際、「ぜひ上智大学でもお話しいただきたい」との想いで早川さんにご講演をリクエスト。講演内容の擦り合わせや意見出しなどの準備を重ね、今回の講演会が実現しました。

早川さんは学生時代に世界中を旅することを決意。大学3年生でケニアに出会いました。「目に見えない線引きがある中で、こちら側(=先進国側)としてこの人たちの仲間になりたい」と大学を中退してケニアに留まり、今日まで貧困状況にある人々に対する教育支援活動を続けていらっしゃいます。「私のケニアの仲間たちに出会ってほしい」という言葉から、講演はスタートしました。

早川さんの活動拠点であるキベラスラムは、職を求めて都市部に移住してきた出稼ぎ労働者の集まる、人口200〜250万人と人口密度の高い街です。スラムは、政府から許可されていない居住区であり、「水道がない」「人口に見合わない数のトイレしかない」など、生活に必要なものが不足しています。しかし、スラムで暮らす人びとは「無いものは生み出せばいい」という発想をもって、「使い古したタイヤからサンダルを作って生計を立てる」など、手に入るものをうまく組み合わせて新しいものを作り出しています。

知恵や工夫に富み、命のエネルギーで溢れているスラムに魅力を感じた早川さんは、スラムで暮らす人びとの願いを知ることになります。自分たちが社会から虐げられる存在とは思わず、自分たちも国をつくっている一員である意識を持つスラムの人びとは、「子どもたちに今よりも良い明日、良い未来を歩んでほしい」と教育に高い関心を持っています。

のちのマゴソスクールの創立者となる親友のリリアンさんも同じでした。キベラスラム出身の彼女は、19歳の時に両親を亡くし、それ以来ずっと兄弟のために一生懸命に働いてきました。両親を亡くした子どもの辛さ、その辛さを抱えたままこのスラムで生活を送る過酷さを知る彼女は、「キベラスラムに生きる子どもたちのお母さんになって、希望を与えたい」という強い想いを持っていました。リリアンさんに心を打たれた早川さんは、「この光についていきたい」と彼女を隣で応援することにしました。

リリアンさんの強い想いとスラムの人びとによる協力で設立された学校は、「マゴソスクール」(正式名称:Mashimoni Good Samaritani School for the Orphans:マシモニ村のいきだおれになった人たちを助ける孤児のための学校)と呼ばれ、孤児やストリートチルドレン、虐待を受けた子どもたちのための駆け込み寺となりました。

マゴソスクールの子どもたちは、医者やエンジニア、技術者になりたい、と夢も広がっていきました。さらに、「今よりも少しでも良い暮らしをみんなに提供したい」「より良く生きられる場所に変えたい」、それを実現するには「自分が」学ばなければいけないと考え、高校や大学に進学したいと意欲的な生徒も増えていきました。マゴソスクールを巣立っていった子どもたちは世界に羽ばたいていき、留学して他国の大学生と交流したり、国際会議に参加したりと、多くの卒業生が活躍しています。

早川さんは、マゴソスクールで育った子どもたちが、「世界中の人たちと意見を交わしながら、今日よりも良い明日、より良い社会をつくってくれると信じています」と講演を締めくくりました。


Chat GPTなどのAI技術が発展し、教育現場で導入するか否かの議論を行っている一方で、世界に目を向けてみると、その技術の恩恵にあずかるどころか、教育を受ける機会がない人がいることに気付きます。教育だけでなく、人間らしく生きるために必要な生活インフラさえも十分に利用できない人も存在します。私たちはどこか、社会のゆくえを他人任せにして、自分が社会づくりに参加していることを忘れてしまっているのではないでしょうか。マゴソスクールに通う子どもたちを見倣い、何事も「自分が」アクションを起こすことを忘れずに、自分には何ができるかを考え、見つけていきたいと強く感じました。

(学生職員 アンジェラ)