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上智大学国連Weeks June, 2014 実施報告

6月2日から13日まで、上智大学国連ウイークス2014/6が開催されました。3つの行事が行われ、国連の活動を通じて世界の直面する課題について学ぶ機会となりました。おりしも期間中、本学は国連と大学が連携する「国連アカデミック・インパクト(UNAI)」に正式に参加し、国連との協力を更に強化していくことになりました。

※Flyerはこちら(285.17 KB)

■国連中東和平国際メディア・セミナー
中東の現状について議論

6月9日から10日まで、本学において2014年国連中東和平国際メディア・セミナーが開催されました(主催:国連広報局、共催:外務省、上智大学)。このセミナーが大学で開催されるのは初めてのことです。学生を含めて2日間で延べ270人以上が参加し、パレスチナと中東問題のメディアの役割を中心に議論を行いました。イスラエルとパレスチナの和平交渉が中断する中、セミナーはパレスチナに新政権が樹立した直後の開催となりました。

開会式ではピーター・ラウンスキ=ティーフェンタール国連広報担当事務次長兼多言語主義担当調整官の挨拶に続き、石原宏高外務大臣政務官、デイビッド・マローン国連大学学長、早下隆士学長が開会の辞を述べ、国連広報担当事務次長から潘基文国連事務総長の成功を願うメッセージが読み上げられました。

セミナーでは、中東和平の現状、イスラエル・パレスチナ紛争と中東和平に関する報道の変遷、パレスチナ難民をめぐる報道とその文脈、中東情勢に関する日本メディアの報道、中東情勢報道に向けた新しいメディア・ツールという5つのパネルで議論されました。中東報道の新たな動きが紹介され、立場の異なる参加者の白熱する議論もあり、学生にとっては、中東の現場を身近に感じる場になったと言えます。

閉会セッションでは、ラウンスキ=ティーフェンタール国連広報担当事務次長が、対等な立場の交渉、交渉再開の努力の継続、メディアの重要性が確認されたと総括しました。飯村豊日本政府代表(中東および欧州地域担当)は、本セミナーにおいて「正直で、双方向の議論」ができたこと、学生も参加して解決策を模索できたことを評価しました。リヤド・マンスールパレスチナ国国連常駐オブザーバーは日本の更なる役割に期待を示し、本セミナーは終了しました。

また9日、国連広報担当事務次長が、早下学長に国連アカデミック・インパクトへの参加証明書を手渡しました。これは国連が世界の高等教育機関と連携し、活動の理解と大学の関与を促進するもので、本学は今後、国連と連携を強化していきます。

■第6回「大使と話そう」マローン国連大学学長

6月11日、国連事務次長で国連大学学長も務めるデイビッド・マローン氏を迎え、「大使と話そう」第六回が開催されました。約110人の学生らが参加し、国連の役割や国際問題、国連機関での勤務について議論を行いました。

まず、進行役を務める前駐米大使の藤崎一郎特別招聘教授が、国連の有効性と国連での勤務について質問して対話をスタートさせました。マローン氏は、近年シリアへの対応など主要な課題について国連安全保障理事会の常任理事国内で中露が米英仏と対立する場面が増えたと述べ、「国連安保理が分裂しているため国連は有効な手立てを打てずにいるという認識が広く持たれている」と答えました。

カナダ出身の外交官で国連大使も務めた国際関係の識者として著名なマローン氏は、国連への財政貢献に比べて日本人職員は少ないので同等の資質と資格を備えていれば日本人には有利だと学生たちを励まし、学生たちからの具体的な質問に丁寧に答えました。語学の完璧さや博士号を持つことより、柔軟性、適応力、プレッシャーやストレスのある中でも回復力をもつなどの資質も重要だと語りました。

学生からはさらに、集団的自衛権と国連平和維持活動、市民社会の世界平和への貢献などについての質問もありました。また、高校生からはグローバルリーダーになる方法、中国の留学生からは冷え込んだ日中関係の改善策についての質問が出ました。マローン氏は質問を歓迎し、日中関係についてはカナダとデンマーク間の領有権をめぐる解決策を紹介するなど、深い見識を持って応答しました。

国連大学と本学の協力についての質問も出されました。国連大学は研究中心であるが、近年は公開講座を開催しているとマローン氏は紹介し、「皆さんの参加を歓迎しますし、これからより多くの上智大生が国連大学に来てくれることを望みます」と語り、会を締めくくりました。

対話は予定を大幅に上回って1時間半も続き、その後多くの学生がマローン氏と写真を撮影したり質問したりするなどして交流を楽しみました。

■国連地雷写真展「地雷除去に取り組む女性たち」
開会式でのテープカット

6月2日から13日まで、国連地雷写真展「地雷除去に取り組む女性たち」が開催されました。

砂地に埋まった爆弾を除去するため防護服に身を包み作業するソマリアの女性や、地雷の危険について学ぶコンゴの子供たちなど、23点の写真が2号館ロビーに展示されました。写真展は4月にジュネーブの国連欧州本部で開催されて好評を博したもので、日本では初公開でした。

2日、2号館ロビーでオープニングセレモニーが開催され、植木安弘総合グローバル学部教授の司会のもと、早下隆士学長、国連地雷対策サービス部のアニェス・マルカユー部長と外務省国際協力局緊急・人道支援課の伊藤毅課長が挨拶しました。

マルカユー部長は、地雷除去のために日本政府が行った支援に感謝し、国連の地雷除去現場で2割以上を女性が担っていると語り、女性の活躍を紹介しました。国連地雷対策サービス部では部長を含め4割以上のスタッフが女性だとのことです。外務省の伊藤課長は、地雷除去のため日本政府が人材や資金提供により多大な貢献を行い、女性参画も支援していると語りました。日本は国連の地雷除去のための最大の資金拠出国になっています。
その後、マルカユー部長を囲む会が教室で開かれ、学生らが部長と地雷を取り巻く状況等について英語で議論しました。