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  • 2050年に向けたユネスコ『教育の未来』を翻訳出版
    総合グローバル学部総合グローバル学科 丸山 英樹 教授

2050年に向けたユネスコ『教育の未来』を翻訳出版
総合グローバル学部総合グローバル学科 丸山 英樹 教授

  • 4:質の高い教育をみんなに
  • 研究
  • 教育・授業

【研究の概要】

 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が2021年11月に『私たちの未来を共に再想像する:教育のための新しい社会契約(Reimagining Our Futures Together: A new social contract for education)』報告書(以下、『教育の未来』)を刊行しました。これは、ユネスコ報告書の中で最新のものです。

 これまで世界中にインパクトを与えたユネスコ報告書は、2つありました。一つは、1972年刊行の『未来の学習(Learning to Be)』報告書(通称「フォール報告書」)で、何かを所有するための学びではなく、生涯を通して自分自身であること・自分を実現することを重視する生涯学習のコンセプトを広めることになりました。もう一つは、1996年刊行の『学習:秘められた宝(Learning: The Treasure Within)』(通称「ドロール報告書」)で、学習の4本柱(知ること・為すこと・共に生きること・人間存在として生きることを学ぶ)を示しました。21世紀の学習は個人の知識獲得や技能向上だけでなく、現実世界で学び、他者との共存、自分らしさのために学ぶことが求められるとしたのです。

 今回の『教育の未来』報告書は、さらに一歩踏み込み「学びほぐし・学び捨てる(unlearning)」も言及しながら、地球に生きる生命体の一部として自然と調和し、多様なアクター間で協同・連携し、誰もが生涯学習者として持続可能な未来に向けて社会参画するために・することを学ぶ重要性を示します。特に、フォールとドロール両報告書が模範解答を提示したことに対して、この報告書は私たち自身が2050年という未来を創ることを強調している点が特徴です。つまり、私たち一人ひとりが未来を創る主人公であると示しています。

 ユネスコ本部との調整を経て、丸山の呼びかけにより上智大学の学生チームと卒業生たち、現役の学校教師たち、研究者有志らが日本語翻訳を鋭意進めており、2024年春には東京大学出版会から出版されます。

【将来の発展性】 一般公開されるこの翻訳本には専門家からの解説も含め、忙しい人でも理解しやすいものとなる予定です。この翻訳本を通して、持続可能な未来に向けた具体的な行動を、上智大学の授業だけでなく公開勉強会などで共に考えていきたいと思います。ご関心ある方はぜひご参加ください。

写真:報告書表紙https://www.unesco.org/en/futures-education より

担当教員

丸山 英樹Maruyama Hideki
総合グローバル学部総合グローバル学科